1.法の支配とは
日本政府は、ことあるごとに「法の支配」を叫び、世界の共感を得ようとしている。
ちょっと長いが外務省が公表しているものなので、引用してみる
「法の支配」とは、全ての権力に対する法の優越を認める考え方であり、国内において公正で公平な社会に不可欠な基礎であると同時に、友好的で平等な国家間関係から成る国際秩序の基盤となっている。また、法の支配は国家間の紛争の平和的解決を図るとともに、各国内における「良い統治(グッド・ガバナンス)」を促進する上で重要な要素でもある。このような考え方の下、日本は、安全保障、経済・社会、刑事など、様々な分野において二国間・多国間でのルール作りとその適切な実施を推進している。さらに、紛争の平和的解決や法秩序の維持を促進するため、日本は国際司法裁判所(ICJ)、国際海洋法裁判所(ITLOS)、国際刑事裁判所(ICC)を始めとする国際司法機関の機能強化に人材面・財政面からも積極的に協力している。また、日本は法制度整備支援のほか、国際会議への参画、各国との意見交換や国際法関連の行事の開催を通じ、アジア諸国を始めとする国際社会における法の支配の強化に努めてきている。(「外交青書」より)
まとめると、
- 「国内」「国際」秩序に不可欠な基礎(基盤)であり、
- 日本は様々な分野でルール作りとその適切な実施を推進している
- そのための国際司法機関の機能強化に積極的に協力するとともに、各国との意見交換等を通じ法の支配の強化に努めてきている
2.言うことは立派だけど行動は逆ではないか
(1)自民党「政治資金パーティ券」問題をめぐって
しかし、いま自民党を騒がせている「政治資金パーティ券」問題では、1団体20万円以内の収入は政治資金報告書に記載しなくてもよいというのを悪用したものであり、そのキックバックは「領収書さえ存在しなければ問題無し」とした政治資金の私的流用問題である。
そしてこれは最大派閥の安倍派や二階派だけにとどまるのか?どんどん広がりそうな勢いだ。
これが「法の支配」どころか、法の網をどうやってすり抜けてやるか一生懸命知恵を絞ったアイデアだったのだろうが、法の支配とは真逆の行動である。
(2)相次ぐ閣僚の辞任問題に関わって
一昔前の河井克行辞任問題は、現役法務大臣が「買収」という言葉さえ使わなければ、選挙期間中の金銭のバラマキは公職選挙法に抵触しないと考え、阿吽の呼吸で「投票依頼」を行った事件である。同じことが今年も起こった。柿沢前法務副大臣の辞任撃だ。ネット上での投票依頼はもとより、区長選挙の前に自民党の区議会議員5人に現金20万円を渡したが、この方も「区議会選挙の陣中見舞い」だと称している。
なぜこうも「法の支配」に疎いのか?いや疎いのではなく、目ざとく法の網に引っかからないよう思案した結果だろう。そこには「法の支配」の崇高な理念のかけらも認められない。
(3)外面のカッコ良さとは相容れない自民党
こうやって見ると、派閥の集合体としての自民党は「法の支配」とは相容れない行動をとっており、言行不一致の「政党」?だということができる。、いや「政党」の名にも値しない「集団」だということになる。
ピンバック: これが「限界」ー自民党の「自浄能力」、政治資金法改正、次期総裁選をめぐる最近の動きについて | 辛口.Net