1.政府はマイナ保険証切り替えに邁進?
政府は、健康保険証をマイナ保険証に切り替える際、「有料化」を検討しているそうだ。内容は以下のとおり。
- 2024年秋に原則紙の保険証を配し、マイナンバーカードを使った保険証に切り替える
- マイナカード未取得者(マイナカードと保険証が紐付いていない場合を含む。)には、「健康保険資格書」を発行し、保険診療が受けられるようにする方針だ。
- 健康保険資格書の発行には、「有料化」が検討されている。
- 一方、加藤厚労省は、10日、政府の中で有料にするということで議論しているわけではない」と慎重な姿勢を述べたという。自民党内からも「懲罰的にお金を取るのはおかしい」といった異論が出ていたという。
マイナ保険証持たない人に「資格証明書」政府が調整 有料とする案も
2.マイナ保険証に切り替えたくても切り替えられない現実がある
政府は何が何でもマイナ保険証に切り替えたいのだろうが、「切り替えようにも切り替えられない現実」があることを忘れている。
マイナンバーカードを取得するには、本人確認が必要だということで、本人が市町村役場に出向かなければならない。必須なのだ。最近では郵便局でも手続きできるようになったが、それでも郵便局が家の隣にあるわけではないので、50歩100歩だ。
しかし、高齢者には足が不自由で外出が極めて困難だという現実があることを忘れていないだろうか?高齢者だけでなく、いわゆる「引きこもり」や障害者の中にも同じ状況があるだろう。女性は、高齢になっても、人前に立つには化粧をして、着替えをしてと、外出には大変な苦労が伴うのだ。
家を訪ねて手続きしてくれる自治体もあるようだが、極めて少ない。全国的な流れになっていない。
3.国民は等しく「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利がある
こんな状況にあるのを忘れ、マイナンバーカードを取得しないなら、金を払って「健康保険資格書」を取得したら?という政策は、保険診療を一部の国民から剥奪することだ。「やらずぶったくり」の政策とはこのことだ。
言うまでもなく、「等しく」[国民には健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある](憲法第第11条、第25条)。にもかかわらずこの「やらずぶったくり」の政策は、この権利を侵害することになる。すなわち憲法違反だ。
「邪道でも何でもまず申請していただく」 マイナポイントに河野デジタル相躍起「続けるしかない」と語った河野大臣の発言にも現れているが、岸田政権は、デジタル化への移行に伴う丁寧さにかけるような気がする。「人の話をよく聞く」ポーズを取りながら、何もその話から学ばない、無視するのは今までの政権の延長だ。
今日は「建国記念日」。国が新しい時代を迎えるにあたって、「人に優しい」国造りを祈るばかりである。
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