「検察庁法改正案」は、今国会での成立は見送られたようだが、この法案を巡って安倍首相の姑息なやり方が見事に露見した。
連日報道されたこの問題を時系列に整理してみた。
政府 | 稲田伸夫検察官 (現在の検事総長) | 黒川広務検察官 (政府推薦) | 林真琴検察官 (検察側推薦) | |
2020年1月 | 閣議決定 (黒川検察官の 定年を延長) | |||
2020年2月 | 定年退職予定 | |||
現在 | 検察庁法 改正案審理 | |||
2020年7月 | 定年予定 | |||
2020年8月 | 退官 | 定年延長後の定年 |
この経過は何を意味するのか明らかだと思うが、ここでは次の3点の問題を指摘しておきたい。
- 国家公務員法の定年延長規定が検察官にも適用されなかったにもかかわらず、おそまつなやり方で解釈を変え、黒川検察官の定年を延長したこと。
- 今国会に上程された「検察庁法改正案」には、一般の国家公務員と同様、定年を順次65歳まで引き上げる他に、更に政府の決定で、その定年を「延長」できる規定が設けられていること。
- 今国会の審議の中で、検察官も(一般公務員と同じ)行政官だから、人事に政府が口を出すことが当然のごとく言われていたこと。
第1点目は、政府はモリカケ問題の反省に立って、「文書管理の厳格化」を約束したばかりだ。いかにも後付と思われるような今回のやり方は、「文書管理の厳格化」が口先だけだったことを意味する。
第2点目は、世の流れとして誰も反対できないだろう「65歳までの定年延長」と抱き合わせにして、人事への関与を強化する政府による「延長」規定を盛り込んだことだ。非常に姑息なやり方だ。
第3点目は、それでは政府の意向による「延長」はどんな場合になされるかの基準も存在せず、仮に「適正人事」などといったいかにもそれらしい基準が示されたとしても、この間の経過を見れば政府の意向をなりふり構わず通してくることが明らかだ。安倍首相の言う「検察の独立性は担保されている」なんていうのは「真っ赤な嘘」だということを示している。
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