児童手当の所得制限撤廃は役に立たない

投稿者: | 2月 4, 2023

政府は、今国会で児童手当の所得制限を撤廃する方針としたようだ。

児童手当、所得制限を撤廃へ 18歳まで拡大「段階的に」

その内容は、主に2点。

  • 児童手当支給時の所得制限の撤廃
  • 児童手当の支給対象年齢の拡大(段階的に18歳まで)

2点目の支給対象年齢の拡大は一歩「義務教育無償化」の精神に近づく(憲法第26条第2項後段)ので賛成だが、1点目の所得制限撤廃は以下の理由で「役に立たない。むしろ悪政策だ」ということを申し上げたい。

1.親1の責任について

政府・与野党がが児童手当の所得制限を撤廃する理由は?必ずしも明確だというわけではないが、「異次元の少子化対策」が背景にありそうだが、「異次元の少子化対策」というのも、どんな内容?

異次元の少子化対策とはいったい何か

そこには、子育てが「親の責任から社会の責任へ」変容していることが背景になっているようだが、果たしてそうだろうか?

しかし、親の責任がなくなるわけではないし、決して比重が下がるべきものでもないと考える。

むしろ親の責任の比重が高いからこそ、親がその責任を経済的・環境的に果たせない場合、それを放置するのは「文化的最低限度の生活」を保障する国家として見逃せない事態で、そのため国が積極的に関わるべきだ」という意味で、社会。国家が関わってくるべきなのだ(憲法第25条、第26条)。

親の責任を不明確にすることは、昨今の、親の子供に対する虐待や子育て放棄などを助長しがちで賛成できない。

【注】1 ここで言う「親」とはいわゆる親であり、血族として親子関係、養子縁組だけではなく、事実上親子関係にある状態を含んだ関係にある「親」と指すべき。

2.所得制限撤廃は新たな経済格差を生みかねない

いったいいくら所得があったら制限されるのか?

子供の数に応じて支給される児童手当は、一定の所得から「特例給付」に変わり、それも所得制限により支給されなくなる場合が出てくる。例えば「年収103万円以下の配偶者と児童2人を扶養している場合には、所得制限限度額は736万円」だそうだ。詳しくは「児童手当制度のご案内」(内閣府HP)

この額については賛否あり、この検討はぜひやってほしい。なぜなら「文化的最低限度の生活」を維持するのは国の努めだからだ。

しかし、所得制限自体すべて撤廃することは、富裕世帯と明日の生活にも事欠き副業、再副業までやってなんと開示している世帯との区別を無くしてしまうことになり、新たな経済格差を生み出してしまう。なぜなら富裕世帯にとっての所得制限撤廃は「棚ぼた支給」を意味し、この給付は富裕を支える制度になってしまうからである。

3.結論

子供を生み育てる環境の整備には諸政策の見直しを総合的にやるべき時期に来ていると考えられる。少子化対策としての児童手当はあまりにも

「我が国における子供の数と学歴・収入の関係」(東京大学)

こんなにやるべきことがある

その点では、目先の一制度の所得制限をめぐる今の国会の議論は、問題の矮小化に過ぎなく残念だ。

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