このところ、菅首相が打ち出した「2030年CO2排出量46%削減」を口実に、原発の新設(リプレースを含む。)や再稼働の提案が盛んになされるようになった。「自民議連が原発の増設・建て替え提言 脱炭素目標は「渡りに船」の声も」はその一例である。
しかし、とんでもない提案である。
CO2排出しないなんてとんでもない。CO2排出するか、あるいはこれによって温暖化対策の切り札になるか?こたえはNOである。「原発が温暖化対策にならない5つの理由」を読むべきだ。電事連会長が2030年度の政府目標の達成には「原発の再稼働が必要だ」と強調しているが、二酸化炭素を排出しないからOKなんていう単純なものではない。
加えて、ここで強調したいのは、「どんなものでも事故が起こらないものはない。その場合、原発ほどリスキーなものはこの世にない」ということである。
安全・安心を前提にというが、この前提が間違いである。
一般論として、事故が人智を超えて発生することがありうるということを否定できないであろう。原子力規制委員会がどんな優秀な人たちで構成されようと「現在の科学を持ってして、現在の科学では安全だ」というに過ぎない。
そして、一旦事故が発生した場合、「原子力は暴走し手に負えない代物」に変貌する。福島第一原発事故のとき、人類は手が出せないまであと僅かではなかったか。この事故時の暴走が人類の知恵を超えているのである。それを忘れる政治家は、人類、国民の命に真摯に向き合っていないと言わざるを得ない。