韓国が徴用工問題を巡って、ゴールポストを動かした、あるいは破壊したと非難する記事が多く見受けられる。
この場合の「ゴールポスト」とは、一旦合意された結論を反故にすることあるいは結論にさらなる条件をつけたりしてことを蒸し返すことを指していると思われる。
徴用工問題の本質については触れない。こちらを参考にしてほしい。ここでは「ゴールポスト」を動かしたと批判して、韓国との外交断絶とか、制裁だとする論調について考えたい。
一般論としてどんな約束事も、(1)約束した状況と現在の状況が大きく変化する、(2)当事者間に錯誤や脅迫など約束に至った経緯に問題がある場合などには、反故にすることが認められている。
これらの状況は認められないことを前提にして、ゴールポストを動かしたのは韓国だけではない。イラン核合意を巡るアメリカのトランプ大統領だ。
イラン核合意については、こちらを参考にしてほしいが、アメリカのトランプ大統領はこのゴールポストを動かしたのだ。そして核合意から自ら離脱だけでは足りず、日本を含む関係国にイラン原油の禁輸を要請してきた。
これに対して、安倍政権は、ほとんど無批判に従おうとしている。国民生活に悪影響が出ることも予想されるのにである。原油に困るのだったら、原発を再稼働させるべきだという論調に誘導しようとするゲスな考えはないと思うが。
これがどれだけ不当なことか!考えてみてほしい。
韓国の徴用工訴訟問題とアメリカのイラン核合意からの離脱は、ゴールポストを動かしたという点では同一だ。
もし、徴用工訴訟問題で韓国を批判し、外交断絶とか制裁だと声高に唱えつつ、一方でアメリカのイラン核合意の破棄を批判しないのはなぜか。政治家、政府にはこのことを説明する義務があると思うが、聞こえてくるのは韓国批判だけ。単に「韓国は嫌い、アメリカは好き」なんて幼稚な考えを披露されても困る。
これがいつか来た道にならなければよいが。
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